スウィーニー・トッド(ネタバレ多数あり)
- 2008年2月 3日 18:01
- By:なおか
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ティム・バートンxジョニー・デップという、私にとってはある種最高のコンビということで、期待一杯で観に行った。しかし、映像以外の全てが中途半端で、観ている途中も観終わってからも、釈然としない気持ちが残った。映像だけは、異常なまでに素晴らしかった。
(※これ以降の文章は、ネタバレが多く含まれます)
この作品は、元々ブロードウェイのミュージカルとのことだが、ミュージカルはもしかしたらもっと面白いのかもしれない。ただし、映画に関しては、音楽も脚本も、正直酷かった。ミュージカル風に歌い上げるのは良いのだが、楽曲のアレンジが下手で、聞いていて魅力も無ければ迫力も無い。ただ単にやかましいだけ。普通に台詞で喋れば緊張感が出そうなところも無理に歌になってしまったりするため、折角高ぶった気持ちがすぐに醒めてしまい、全編通してダラダラした展開だと感じた。賛否は別れるかもしれないが、音楽好き、ミュージカル好きな人にもお薦め出来ない。
脚本は更に酷く、トッドが人肉パイを作ろうと決めた過程がさっぱりわからず、トッドの娘に一目惚れした男の心情もさっぱりわからず。その結果、無駄に殺人ばかりするトッドは単なる人殺しにしか見えず、復讐という目的に対してすら同情出来ず、一目惚れした男がトッドの娘と駆け落ちするシーンにも全く肩入れできず、ひたすら後味の悪い印象しか残らなかった。途中からはどちらかというと復讐相手のターピン判事(演技も良かった)に心情的な肩入れをしてしまう始末。お陰様でジョニー・デップの演技もいいとこ無し。
それにしても、娘に気付かずスルーし、元妻にも気付かず殺してしまい、想いを寄せてきたミセス・ラヴェットを殺してしまい、最後は息子同様だった子に殺されてしまうという結末は、うけるのだろうか...?
ファンタジーな要素満載なのに、こんなに感動もできなければ何の感傷も持つことの無かった映画は久しぶりかもしれない。こんなに意味なくどす暗いファンタジーは観たくない。
期待せずに観れたらどんなに楽だったことか。残念。
ただし...!映像だけは、本当に素晴らしい。個人的には恐るべき凄惨な美しさを見事に表現していると思え、この映像美を楽しむだけでも、もう一度観たいと思わせるものがある。この点は、さすがティム・バートン。シザー・ハンズやスリーピー・ホロウ、コープス・ブライドなどに見られた表現手法の集大成、むしろ最高峰と言えるものだろう。絶妙なコントラストの中に浮かび上がる沈美的な色彩の独特な美しさは、思わず息を飲んで見つめてしまう。とくにラストのシーン(トッドが殺され動かなくなる)の映像の素晴らしさは必見。そういえば、シザー・ハンズもスリーピー・ホロウもコープス・ブライドも(勿論その他の幾つかの作品も)、全てティム・バートンxジョニー・デップだ。今まで素晴らしい作品を送り出してきたコンビなだけに、次回作には期待したい。
というわけで、せめてミュージカル仕立てだけをやめてくれれば、もう少し緊張して観れたかもしれないのだが、映像以外は何も残らない作品だった。ミュージカル風な映画としては、サウンド・オブ・ミュージックやムーラン・ルージュ辺りが私の中では相変わらず最高峰だ。
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